青家について

青家 酵素シロップ

2005年9月1日、青家は中目黒の一軒家レストランとして誕生しました。
オーナーは姉の青山純子、私は店長として料理と接客を担当。
お店は路地奥の古い一軒家で、私たち姉妹が子供の頃から食べて育った京都のおばんざいと韓国家庭料理を提供し
「大切な家族に食べてもらいたい、本当に安心できる美味しいごはん」いうコンセプトのもと、地元京都の農家さんから届く旬野菜、お米、生麩、豆腐や、韓国産の上質な唐辛子、漢方薬など食材も厳選して手作りしていました。
長らく闘病中だった姉は、オープン翌年の11月10日に亡くなりました。

その後わたしも最愛の姉を失ったストレスと過労で、声が出ない、耳が聞こえない、匂いや味もわからないという謎の病で倒れました。
病院に行って「治療法が無い」と言われた時、思い出したのが祖父の薬膳でした。
韓国人の祖父は若い頃から非常に体が弱く、30代でお医者さんにも見放された身でしたが、幼い頃からの薬膳知識を基に自分で体を治し、83歳まで生きました。
お店でお客様のために作っていたごはんを自分のために作るようになったらあっと言う間に完治し、より深く薬膳を知りたくて北京中医薬大学日本校に入学して青家を経営しながら勉強を続けました。
卒業後は日本の女性ならではの薬膳を研究するために薬膳の教授にプライベート授業をお願いし、たくさんのことを教わりました。
その知識を基に青家の日々の料理レシピを考え提供して、実際にお客様に喜んでいただける毎日は本当にやりがいがあり楽しかったです。また、たくさんのレシピ本出版の機会もいただきました。
2009年4月には『青家のとなり』という一軒家のお菓子屋さんを文字通り青家の隣にオープンし、店舗の2階はスタジオ用に改装して料理本の撮影や料理教室、薬膳講座など様々なイベントを開催しました。

2018年、青家オープン13周年の日に両店舗とも閉店し、地元の京都に戻りました。
[本当の意味で人が健康になる]にはどうすればいいのか知りたくて量子力学や植物療法やヒーリングを学ぶうちに、京都の山で植物に囲まれて暮らしたい、人のいのちの不思議についてもっと知りたい、と願うようになったからです。
京都に帰ってからも場所をお借りして料理教室や薬膳講座を開催しました。

2020年、京都市内に自分のアトリエを構えたタイミングでコロナが流行し、開催予定だった春の薬膳講座の中止を余儀なくされました。
既に講座をご予約下さっていた皆様に、ご返金か青家の商品に交換かお尋ねしたところ皆さんが商品を選んで下さったので、数年前から自分用に作っていたオリジナル酵素シロップを商品と共にお送りしました。
それが現在青家で一番人気の酵素シロップが生まれたきっかけです。

酵素シロップは微生物のパワーで発酵させるので食材の素晴らしさが何より大切です。
実際に農家さんにお会いして土に触れ、人や場の氣を感じながら仕入れ先を探すうちにたくさんの出会いにも恵まれました。
あるレモン農家さんのお話では、傷がついて売れ残った果実や収穫が多かった時も廃棄している、と聞いて驚きました。
無農薬で作物を育てるのは自然の摂理に沿っているとは言え、昔とは環境が違うから大変なことも多い上、一年中草刈りや枝打ちなどお世話も必要だし、うまく実らない年もある。
なのに採れすぎた時には捨てる??そんなのあんまりだ。。
ものを安く効率よく売ることに重点を置くと必ず誰かに負担がいく。
最も大切な食材作りを担ってくれている農家さんがそんな思いをするなんて納得いかないし、信頼できる仕入れ先が無いと私自身も困る。
傷があっても形が揃ってなくても多く採れすぎたとしても、青家では正規の価格で買取させていただくことを大切にしています。
これは当然のこと。生産者さんあってのものづくりです。
食材を発酵させてシロップを作り、発酵した果実はシロップとブレンドしてジェラートや調味料に。最後に残った種や固い皮は畑のコンポストにするので青家ではゴミが出ません。
関わる人みんながうれしい循環をもう少し大きくしたいなと思っていたらすてきな物件に出会い、2022年9月に京都市内に工房ができました。
これからより多岐にわたるものづくりができることがとてもうれしいです。

大切な人を亡くすと、自分まで失ってしまった気持ちになります。
でも目に見えなくても、肉体がなくても、命はある。
生きてるわたしに出来るのは、肉体があるから出来る、ってことを楽しむこと。
それは、美味しく食べること、心地よい時間を過ごすこと、全ての感情を味わうこと。
目に見えるもの(身体)と見えないもの(心)、両方大切。
身体と心が喜ぶことすべてを青家でやりたい。
わたしは自分が本気で欲しいと思うものだけを作るようにしています。
若くしてこの世を去った姉でしたが、今はわたしと溶け合って一緒に生きてる気がします。
生きてたらこれを食べて欲しい、こんなものがあったらいいな、こんな空間で一緒に過ごしたいなと、たった一人の大切な人を想って作り出すものづくりは最も熱量が高い。いつも姉の存在を感じてるからアイデアが湧いて止まらないんだと思います。
この凝縮した想いを形にしたものは、きっと誰かの大切な人のために役立つと信じています。

2022年11月10日 青家 青山有紀

青山 有紀

青山 有紀

Yuki Aoyama

青山有紀

京都市内で料理屋を営む母と韓国薬膳に精通した祖父に囲まれて育つ。

生まれ育った京都のおばんざいと幼い頃から食べてきた韓国家庭料理の素晴らしさを伝えたいと、美容業界を経て2005年東京中目黒に京おばんざい屋「青家」を、2010年京甘味処「青家のとなり」をオープン。

2010年北京中医薬大学日本校卒業。国際中医薬膳師資格取得。薬膳料理、韓国料理、インド伝承医学アーユルヴェーダに関するレシピ本など著書多数。

現在は2店舗ともに閉店し、京都にてオンラインストア用の工房を構え、心身ともによろこぶものづくりに専念している。Garden of Spirit認定 花療法家、本草閣認定マスターヒーラー、カタカムナ認定講師、シータヒーラーとしての知恵も生かし、自身のアトリエで不定期で様々なイベントも開催している。

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