(伊豆大島三原山で出会った花)

お料理教室や薬膳講座でよく聞かれてれた「どこの塩がいいですか?」という質問。長年ずっと答えられずにいました。日本全国様々な塩作りの現場に伺い、どこのお塩もおいしくて良いお塩だと思っていたからです。
家のキッチンには日本のみならず、世界中のお塩があります。
そんな中、人のご縁で出会った伊豆大島オーシマオーシャンソルト〈Frower Of Oceanシホ〉というお塩を7年前から愛用してきました。

なぜだかわからないけど、ここのお塩が1番いい。眠っていた細胞が目醒めるような、太古の叡智が呼び醒まされるような、とても奥深いところからのエナジーを感じるのです。あおやで作っている塩麹、お味噌、梅干し、ポタージュにも全てこのお塩を使用してきました。
なぜ数多(あまた)ある天然塩の中で、オーシマオーシャンソルトだけこんなに強く深く惹かれるのか。
その理由を確かめたくて、伊豆大島に行ってきました🚢

〈Flower Of Ocean(フラワー オブ オーシャン)・シホ〉を作られているのは約50年前に伊豆大島に移住された坂本さんご一家。
明治時代に施行された塩専売法によって塩の製造販売が自由に出来なくなり、近代工業的な製塩法に切り替わりました。それまでの伝統海塩に含まれていたカルシウムやマグネシウム、カリウムといった成分が不純物として取り除かれてしまい、ほぼ純粋な塩化ナトリウムしか入手できなくなってしまったのです。
NaCl(塩化ナトリウム)単体が塩の主成分だからと、他のミネラルは他のもので摂ればよいという考え方は何か違うのではないか、元は同じでも全く別物になってしまってる、と日本人の健康を心配した坂本さんたちが伊豆大島に渡って塩作りを始めてくださったそうです。自然の恵みというのは、科学的な分離や足し算でできるものと同じではない。生きる力の根源に働きかけるのが本当の塩だと。

坂本さんご家族が作る塩は、伊豆大島の地下深くから汲み上げた清浄でミネラル豊富な深層海水を原料とされています。
深層海水と海洋深層水との違いについて、今回初めて知りました。
海洋深層水とは一般的に水深200メートルより深く、太陽光が届かなくなる深さにある海水を言うそうです。海水の約95%は海洋深層水であり、ミネラルがバランスよく含まれているという特性があります。
違いの定義は曖昧みたいですが、深層海水とは地下(井戸)から汲み上げた海水のことで、「深層地下塩水」とも呼ばれるらしい。
伊豆大島の万立(まんたて)の井戸はこの深層地下塩水と水が混ざっているのが特徴です。
海水と淡水が混合した水は汽水と呼ばれますが、この「水との和合(わごう)」に最大の秘密があるようなのです。
古来より伊勢神宮専用の塩作りも五十鈴川の河口の海水と淡水が交じり合う汽水(きすい)の塩田「御塩(みしお)浜」にて行われているそうで、違った性質を持つ水と海水、2つのものが混じり合うことでしか生まれない”なにか”があるらしい。
過去に筑波大学の生物学者が〈Flower Of Ocean(フラワー オブ オーシャン)・シホ〉について調べたところ、とても波動値が良く非常に稀で貴重なお塩であると報告されたそうです。

伊豆大島は太古からの度重なる噴火によって生まれた島。

地下約300m深くから汲み上げた深層地下塩水は玄武岩でできた自然の濾過装置をくぐることにより、透明度の高い海水になっています。真水と混ざったこの塩水を太陽熱と海からの風を活かした家族手作りのドーム型装置で噴霧(ふんむ)して蒸発させたのち、蒸気の熱を利用して煮詰め、日本古来の平釜で塩を結晶させ、塩とにがりをなじませてから分離させて作られます。

太陽熱や風など自然エネルギーを利用して濃縮し時間をかけゆっくりと熱を加えることで塩の粒は結び合い大きくなります。その過程でミネラル分を適度に含んだ 甘みのあるまろやかな塩へと成長してゆくのです。
塩の結晶ができるとき、表面に次々と花が咲いていくように見えるのですが、この塩の花から〈Flower Of Ocean(フラワー オブ オーシャン)〉と名付けたと伺いました。また、この天然の営みへの感動と感謝がこのシホの名前の由来で、シホのロゴは火と水が合わさった古代文字から生まれたそうです。

目に見えるものが生まれる前には必ず、見えないエネルギー体が先に生まれています。
見えるものの中でも水は一番波動の影響を受けやすい物質。触れる人、心の状態、かける言葉によって水の結晶が変わるというのは有名な話です。ご家族も塩を結晶させるときは雑念を手放し、平穏な気持ちで仲良く作業を進めることを大切にされています。
あおやのものづくりも全く同じ考え方で、心の内側の平和や根源の生命エネルギーに意識を置くこと(つまり何も考えず、筒のような状態であること)を最優先しているのでとても感動しました。
塩作りの設備や道具類もすべて家族で協力して作られたそうで、その愛情溢れる空間とご家族の想いに思わず涙が出てきました(塩作りの現場を見て泣いた人は初めてだと言われました笑)。


(手作りモニターでわかりやすく説明してくださいました)


(こちらの道具も手作り)

原料となる深層地下塩水はとても清浄で栄養塩を多く含む特徴があるため、味の奥行きと滋味深いやさしさがあり、放射能やマイクロプラスチックの影響も受けないので非常に安心。また、現代人が不足しがちなマグネシウム(海水の中のミネラルの主成分)も豊富。マグネシウムは腸内細菌を育てる大切なものですがストレスによって発散されてしまうので、毎日の食事で摂り入れることが大切です。
手塩にかけて育てられた特別なお塩の美味しさ、そして私自身がこの塩に強く惹かれていた理由にも納得できました。


(来てよかった!)

考えてみるととてもシンプルな話ですが、海水を煮詰めるだけでも手間がかかるのに、真水が混ざった海水はさらに多くの時間と手間を要します。敢えてその方法を取り入れている塩作りはとっても珍しいのです。
その真逆の方法が、よく使われている製塩方法〔イオン交換膜法 や逆浸透膜法(電気の力を利用して海水を濃縮、その後煮つめて塩を結晶させる方法)〕。つまり電気を使って水と海水を分けたのちに海水を煮詰めていくからとても効率的で工業的。大量生産のための不自然な塩作りのため、大切な自然の栄養素も失われ、全体のバランスが崩れて健康への影響があると言われています。塩のパッケージの製造方法を見ると書いてあります。

古来より私達の祖先は太陽や月の動きなどから自然の法則を学び日々の生活に活かしてきました。
地球と月とがお互いに影響しあって、目に見えないエネルギーがそこにはあるのではないかと思い、あるとき満月の日に取水した深層海水100%で作ったところ、更に甘くまろやかな塩ができたそうです。
こちらは〈Full Moon Ocean(フルムーン オーシャン)・満月のシホ〉として発売されています。

生きる上で欠かせない塩。塩はいのちの基であり、自然そのものが生み出してくれる最高の調味料。
毎日の食を最高の自然薬にするために欠かせないのは、自然の力そのものから生まれた塩と米。それこそが日本の宝だと思います。
どんな塩と出会うのか、どんな塩を選ぶのかは、人生をより豊かにするのにとても大切な選択。
坂本さんご一家が作り出してくれる塩は、太陽が昇る時のように、いのちが立ち上がる塩。
美味しく食べて、心も身体も喜びで満たしてくれるお塩だと思います。


(坂本さんご家族と)

青家でも〈Flower Of Ocean(フラワー オブ オーシャン)・シホ〉と〈Full Moon Ocean(フルムーン オーシャン)・満月のシホ〉の販売をさせていただくことになりました。手塩にかけてつくられるため生産に時間がかかりますが、ぜひ多くの方に届くといいなと思っています。