〔11月12日〕
ツアーで出会ったみなさんに挨拶してお見送り。ツアーはまだ続いてるけど私はお先に抜けてルクソールに移動。エジプトに来たらどうしても行きたいところがあったからだ。雨のせいか飛行機が遅れて夕方に到着。知人に紹介してもらった現地宿の方が迎えに来てくれて宿に向かう。カイロとは全く違う雰囲気でとにかく緑が多いし木も大きい。なぜかハワイ島のような感じもするし、目下にナイル川を眺めながらビールを飲んでいるとフランスのノルマンディーにいるような感じにもなった。
エジプシャンフードを買って来てくれて、川の東側(都会。私が居たのは静かな西側)の煌びやかな夜景を眺めながら夕食。食後に東のナイトマーケットやら近くのバーやら色々お誘いいただいたけど移動で疲れてたので早めに休む。
〔11月13日〕
新月の朝、目覚めて外に出ると何という気持ち良さ!
ゆっくりと呼吸をして太陽と風を感じながら、日本から持参した梅しょうがペースト入り味噌汁を飲む(ほんっとに持ってきて良かった!滞在中毎日飲んでてかなり助けられた)。
お宿のスタッフさんに案内してもらって近所をお散歩。見渡す限りのどかな風景。地元の方が「うちの牛に会って行く?」と声をかけてくれて、親子の牛に挨拶させてもらう。毎日こんなに新鮮な草を食べてるからチーズも美味しそう〜って言ってたら夜には作りたてのチーズを届けてくれた。
朝食は地元で人気のお店に連れて行ってもらう。ひっきりなしに来るお客さんと、ナイスなリズム感で料理を作り続けるシェフの動きは見ているだけで楽しい。出てきた料理はトマトとニンニク入りの豆の煮込み、揚げたてのファラフェル、アエーシ(エジプトパン)、フレッシュルッコラ。地元感溢れるこの朝食は全体的に脂っこいけど美味しかった。
食後はまず王家の谷へ。歴代の王の墓が発見されたところで、一枚の入場券で3つのお墓を選んで入れる。私は別料金も支払い、見てみたかったツタンカーメン、セティ1世、ラムセス5世/6世の墓も行ってみた。
特にセティ1世のお墓の美しさにハマってしまいここでかなりの時間を過ごした。
ハイシーズンと言われる11月はとても過ごしやすいとは言え日中はかなり暑く水分補給が欠かせない。見学途中でフルーツジュースも飲んだけれどかなり疲れたし、お手洗いも遠くまで戻らないと無いので、戻る途中にあるラムセス3世とメルエンプタハのお墓をさっと見て出た。トイレの前には暑すぎて泣いてる女性がいた。
一度カフェに寄るも空腹を感じなかったのでジュースだけ飲み、ハトシェプスト葬祭殿へ。ハトシェプストは唯一女性でファラオになった第18王朝の王妃。夫はトトメス2世。後継者に指名されたトトメス3世がまだ幼すぎたため22年に渡り共治王を務めた。戦争を好まず平和外交によって統治したらしく、エジプト考古学博物館で見た巨大なハトシェプスト像にグッと惹かれるものがあり、文明博物館でミイラにも会うことが出来て、ルクソールで宿泊している宿からも近いのでなんだか心の親近感を感じながら足を踏み入れた。心地の良い場所で、天井を見上げると鳥が一羽、光を浴びて輝いてた。そういえばピラミッドの上にもかなり多くの鳥たちを見たし、スフィンクスの頭にも止まってたな。
今回出来れば行きたかったイシス神殿はアスワンという片道3時間以上かかる場所にあるらしく、そこは無理なので比較的近くにあるスモールイシス神殿(分社みたいな?)に連れて行ってもらうも、ここはあまりしっくり来なかった。
気がつけばもうすぐ夕暮れ時。砂漠の山に登ると地元の方がラグを敷いて温かいミントティーを淹れてくれて、しばし夕陽を見ながら寛ぐ。この空気感を日本のみんなとシェアしたくなりインスタライブした。
宿に戻り地元のホームメイドのご飯をいただく。明日は気球に乗ってみたくなり、食後はまたもや出掛けずに就寝。
〔11月14日〕
3時半起床。まだ外は寒い。4時半に気球の会社が迎えに来てくれて、他の方と相乗りで気球乗り場に向かう。真っ暗で相手の顔もよく見えない中、一瞬トイレに行ったらすっかり見失ってしまい呆然。たった1分でも待っててはくれない。宿の方に連絡して気球会社の名前を聞いて探し出し合流。あれよあれよと言う間に手早く気球が膨らまされて、ラタンで作られた籠に16人が乗り込んだ。パイロットが炎を上げるごとに浮上し、見下ろす先には王家の谷やハトシェプスト葬祭殿。見事な日の出に感動。地上からどんどん上に上がり視界が広がっていく様子は意識の拡大にも通じるものがあり、「今いるところが私の世界の全てだ」と思い込むがどれほど勿体無いかを再認識した。そういえば今年何かのドラマを見ていて、いつか気球に乗ってみたいと思っていたのだ。すっかり忘れていたのに、こんなに早くさらっと叶ってるとは!気球の上でそれを思い出してさらに感動した。翌日は風が強く気球が飛ばせなかったらしいので乗っておいて良かった〜。
この日の行き先は、ルクソールで最も楽しみにしていたハトホル女神の神殿。
6〜7年前にハトホルの本を買い、書いてある意識のワークをひと通りやってみた。
先月のスリランカでなぜかそのワークをトリートメント中にずっとやっていたことふとを思い出し、やはりエジプト行きは既に決まっていて、未来記憶からのメッセージでここに来たのだと実感した。
ハトホル女神に捧げられた神殿はデンデラという場所にあり、ルクソールの宿からは片道1時間半くらい。クレオパトラ7世の時代に作られたと言われていて、エジプトで最も保存状態が良いと言われる神殿の一つ。全身に浴びたエネルギーの響きとレリーフの美しさには鳥肌が立った。何とも表現し難い、深い深い懐かしさ、包み込まれるような温かさ。私の何かがしっかり覚えている。これは私だけの体験じゃない、あらゆる日本人のものなのだと感じて急遽インスタライブ。混み合うほど入り口にいた人たちはどこに行ったのか、その間は不思議と誰も来なかったのでいつの時代にいるのかわからなくなったほど。ビリビリと強く感じる愛の振動に感動が溢れてきた。
ハトホル神殿の最後に立ち寄った(というか連れて行かれた)のは、太古から地下水が湧き出る場所。長い歴史の中で瞑想やお祈りの前にここで禊をしてたという空間に、現地の方が案内してくれた。
エジプトに発つ前に必ず持っていきたいと思った水がある。
その水とは、日本の杉の木から出てきた、とっても純粋で粒が細かい、太古の記憶を持つ水。ちょっとここでエジプトから話が逸れます。
私がこれから住む京都の山の家は、昭和の高度経済成長期に建てられた、京町家ではない”いわゆる普通の家”。改装するより新築に建て直した方が安いし早い、とみんなに言われたけれど、それをやっていたら地球のゴミが増えるばかり。普通の家は日本全国に山のようにあり、こういう家の活かし方を考えたら日本の未来はよりよく変わるのではないかというのが私の考えです。
建築材は、いつか土に還る木と漆喰がいい。そんな時に出会ったのが、かなり特殊なようで自然な方法で木を乾かす設備を発明した(株)ki-yaさん。同じ杉の木でも、近年使われる高温乾燥機だと強度は下がるばかりで長く持たないけれど、ki-yaさんの設備で乾燥させた木なら強度は時代とともにあがり、木の有用成分がたくさん残っているのでシロアリも寄りにくいのだそう(奈良の東大寺や法隆寺などに使われている木材の乾燥方法の考えに似た仕組みらしい)。[酵素乾燥]と名付けられたそのオリジナル乾燥法は、木に全くストレスを与えず、まるで私たちが寝汗をかくように、ごく自然にやさしく水を手放すそう。そして、そこから出てくる100%ピュアな木の水が、潜在意識を目覚めさせるような驚きのエナジー!(熱も水もほぼ加えていないので蒸留水とは違う)
検査の結果、飲み水としても全く問題ないというピカピカの木の水。長い時間をかけてゆっくりと木が吸い上げた水には、太古からの命の記憶を感じます(お水の販売はされていないのですが気になる方は直接お問い合わせください:インスタグラム@ki_ya_koji)。
この水をエジプトに持参して毎日飲んでいたのもあるのか、”エジプトに緑を生き返らせたい”という願いを所々で感じた。
そしてこの水の振動を身体全体に響かせながらそっと手に掬わせていただいた、エジプトの太古からの水。
ピラミッド、セラピウム、スフィンクス、ハトホル神殿に来れただけでエジプトでの任務が終わったような気がした。なんの任務かは全くわからないけど 笑。
ふと気がついたら水分補給もすっかり忘れていて何だか力が入らない。そこから一気に熱が出てきて翌朝まで眠り続けた。
〔11月15日〕
朝にはすっかり熱は下がり空腹も感じる。バナナ、マンゴー、リンゴを食べ、いつもの梅しょうが味噌汁を飲み、さらにファラフェルサンドも食べた。
午前中にはラムセス3世の神殿に行くもピンと来ず、さっと見てからラムセス2世の神殿に移動。
ルクソールでは外出時は必ず宿の方が一緒に来てくれた(正直もっと自由に歩きたい氣持ちもあったけど笑)。
ここにいる間は他に誰も来なかったのでしばしゆっくりさせてもらった。
主要な場所以外の神殿はチケット売り場で先にチケットを購入しておかないと中に入れない(各神殿では販売してない)から行く前に要チェック。また、わたしはUSドルしか持っていなかったけど、お手洗いやちょっとした移動にも常にチップを要求されるので細い両替は多めに必要。現地ATMで両替も出来るみたいなのでルクソールではエジプトポンドがあればよかったな、と帰国してから思った。あとクレジットカードはVISAとMaster Cardしか使えなかったので要注意。水質は日本と全く違うのでうがいや歯磨きもミネラルウォーターで。髪が乾くからしっとりするヘアケア製品を持参しておけばよかった。あと、室内での羽織にもなり暑い場所では日よけにもなるようなストールが一枚あると便利。靴は砂で汚れるから後で洗えるものがいいし、神殿などではたくさん歩くからヒールはおすすめしません。お手洗いは清潔じゃないから、バッグには殺菌スプレー(momo月桃スプレーが最高!)とティッシュが必須。あとお腹壊した時のために梅干し持参がおすすめ。わたしは水が合わずあまり食べられなかったので《あおやの梅しょうがペースト》を持って行って本当に助かった〜〜。
夕方には荷物をまとめてルクソール空港へ。国内線でカイロに着き、エアポートホテルで1泊。4時すぎにホテルを出てアブダビに向かう便に乗り、約10時間のトランジット中にこの日記を書いている。
エジプトの空の上からは果てしなく続く龍神の雲と、雲から飛び出るほど巨大な黄金のスフィンクスの姿が見えた。
今回突然決めたエジプトの旅。
エジプトと日本は強く繋がっているし、その神々も元々はきっと一緒だったと確信する瞬間が多々あった。
太陽を赤く表現するのは世界中で日本人とエジプト人だけらしいし、様々なレリーフたちを見ていてもやはり八百万の神を大切にしていて、考古学博物館では縄文の土偶そっくりのものもあったし、まさに日本人やん!という像もたくさん見た。
現在残っている神殿や墓は戦いと破壊の痛々しい痕跡だらけで、本当に日本人に親近感と敬意を持っているエジプト人もいれば、そうではない人にも出会った。いや、ほとんどはそのどちらかに分けれらるものではなく、きっと両方が同居している感じ。そうならざるを得なかった世界の歴史を振り返り、それでもなお親切で思いやりがあって相手を自分のように大切に出来る原初のハートを持ち続ける日本人の素晴らしさに胸が熱くなった。外側の戦いも愛も全ては自分の中で起こっているからこそ、私たちの芯(神/しん)は愛で出来ていることを忘れてはいけない。お互いの喜びを分かち合えるあの感覚。世界でも特別な日本人の魂たちがいまだに自分を責めたり自己価値を低く見ていることにじっとしてられない気持ちにもなった。幸せになることに罪悪感なんて全くいらない。ひとりひとりが真(芯)の自分の喜びに素直に生きることが、地球を輝かせることなのだから。早くみんなで本当の自分の素晴らしさを思い出して一緒に地球を楽しみたい。自分たちの太古の叡智のエネルギーを再起動させたい。
食の面で言うと、エジプト料理は日本人の口に合うとよく聞くように確かに美味しかった。だけど私には毎日は辛かった。水も合わなくて体調を崩したり、胃が疲れて腫れてしまい、お腹も下し、結果的に断食してた時間が長かったように思う。これも偶然ではないのだろうけど。
日本は全面が美しい水に囲まれた、特別な水に恵まれた国。水質が良いためお出汁料理がメインで本当に胃腸に優しいし、そもそも水道から出る水が飲めるってすごいこと(私は直接は飲まないけど)。海外は水そのものが安全でないから揚げものや油を使う料理が多くて胃に重い。どこに行ってもタバコと香水の匂いがきつく、鼻敏感族の私にはそれも辛かった。
腸内細菌と意識のつながりに関しても今回思うところがたくさんあった。
〈身体こそ、魂を入れる最も大切な神殿〉ということを再認識させてもらったし、全てをひっくるめて、日本人の食と微生物、菌、潜在意識に興味がある私にとっては、お宝の経験になった。
この旅の本当の意味がわかるのはきっとこれからなのだろう。その時にはまたシェアしたいと思います。最後まで読んでくれてありがとう。
2023年11月16日